海外起業・スタートアップの前に読む国別書籍 11選

法人設立の手続きの"手前"にある、その国の構造を知る。

海外で起業しようとする日本人が最初にぶつかるのは、「どの国で始めるか」の判断です。シンガポールや香港は税制と行政効率で魅力的だが競争が激しい。アメリカ・イギリスは巨大市場だがビザと生活コストの壁が高い。ベトナム・インドネシアは成長市場だが規制と汚職のリスクを抱える。カナダ・オーストラリアはスタートアップビザで移住起業がしやすい。この判断は、税制・会社法・ビザ制度といった手続きの話だけでは決められません。その国が「どんな経済戦略を取り、どこに規制が緩く、どこに規制が厳しいのか」を国の構造から理解した上で選ぶことで、後の判断すべてが変わります。Iris Instituteは、海外起業の主要検討国11カ国を、それぞれ歴史・地理・文化・政治・経済の5つの視点で書き下ろしています。

目的別の読み方

税制メリットで選ぶ

シンガポール(法人税17%・段階的免税)・香港(16.5%・オフショア所得非課税)・マレーシア(ラブアン制度)・イギリス(LLP・R&D税額控除)などの税制優遇制度は国の産業戦略の一部。制度の"なぜ"を理解して活用する。

巨大市場で勝負する

アメリカは世界最大の消費市場・投資市場・人材市場。ただしEビザ・O-1ビザなど起業家向けビザは複雑で、州によって法制度も違う。インドは14億人の内需市場と規制の壁を天秤にかけて判断が必要。

成長市場で先行者利益を狙う

ベトナム・インドネシア・タイは日本人起業家の実績と現地日本人コミュニティが厚い国。ただし現地パートナー・法制度・汚職リスクを政治経済の視点から理解しておくことが不可欠。

起業+永住を狙う

カナダ(スタートアップビザ)とオーストラリア(革新的事業投資家ビザ)は、事業立ち上げが永住権につながる制度を用意。移民国家の政策と経済戦略を理解して活用する。

見落とされがちな視点

その国の"制度が変わる速度"を掴む

起業家が判断を誤りやすいのが、「今の制度が今後も続くか」という視点。政治体制・与党の安定性・過去の制度変更履歴を読むと、その国の制度リスクの見通しが立ちます。

ローカル人材の質と労働慣行

駐在ではなく起業だと、現地スタッフ採用が事業の生死を左右します。国の教育制度・労働文化・雇用の流動性は、国別書籍の「文化」「経済」章で押さえておくべき論点。

為替と資本規制

事業で稼いだお金を海外に持ち出せるか、送金に規制はないか。中国・インドなど資本規制が強い国では、事業の設計段階から考慮が必要。

出口戦略——事業売却・撤退

起業は始めるだけでなく、売却・撤退の可能性も設計するもの。その国のM&A市場・IPO環境・撤退規制も、経済章から読み取れる重要情報。